【ミュージカル『マリー・アントワネット』】

 

めちゃくちゃ公演内容ネタばれしてるので、要注意です!!!

 

 

初帝劇でした。
演目発表された時に友人との会話の流れで、そろそろ帝劇に立つ古川君を観たら~みたいなことを言われて、そだねーという感じで観劇を決めました。
ので、この場合、目当ては古川君になるのだろうか。
古川君以外のダブルキャストはメッチャ悩みました。本当にどちらにしようか悩んで悩んで将棋の長考のように……あっちで、いや、こっちで、……これで決め、………いや、やっぱちょっと待て……みたいなことを繰り返して以下に決めました。

 

f:id:hatsukatutu:20181024090659j:image


ちなみにキャストをチョイスする個人的な『決め』となったのは、花總まりさんは宝塚にドはまりしてる今、伝説の娘役を観てみたいという思いから。
ソニンちゃんは元々好きだったのと、役柄的にソニンちゃんの方が合ってそうだな、という印象からです。
友人からはお歌しっかり聞きたいなら昆ちゃんがいいかもね、とアドバイス受けたのですが、今回はソニンちゃんをチョイスしました。

お話について
観る人を選ぶ作品だな、と思いました。多分、前提条件としてフランス革命についての知識がないと楽しめないんじゃないかな、と。

物語の始まりはフェルセン伯爵がマリー・アントワネットの処刑の報せを受けたところから始まるのですが、このフェルセン伯爵を私は知ってるのですが(劇場に居る人はほぼほぼ知ってるでしょうが、、)特に観劇や歴史に興味がない人は知ってるのでしょうか??(気になって数人にアンケート取ったらみなさん知らなかったですよ。。でも、ロベスピエールは結構知ってる人が居た。。)

マリーについても歌で軽くフランスに嫁ぐ下りを紹介した後、フェルセン伯爵との関係が終わりを向かえかけ、子供も居るという出来上がったマリーとして登場してくるので、マリーがどうしてこうなったか、というのを演劇の中で補えきれていなかったかな、という印象。
今回の演目で造り上げる『マリー・アントワネット』ではなく、個々人が持っている『マリー・アントワネット』像から始まるので、各々のイメージから物語が始まってしまうのが、残念だったように思います。ただ劇場に居る観客の持つ『マリー・アントワネット』像はそんなに大差がなかった、と思いますが。。
観劇後に友人が「タイトルロールになってもマリー・アントワネットの描かれ方はああいう感じになっちゃうんだね、」と漏らしたのが印象的で、確かになぁ、と思いました。

ミュージカル『マリー・アントワネット』だけれど今回、マルグリットというもう一人の主人公が居るから、余計に観客の感情がどっちを向いたらいいのか分からなくなってしまったかな?と思いました。。
あと、後半はマリーの生涯がダイジェストで進み過ぎてるのが気になりました。。というか、フランス革命の知識ないと、やっぱちょっと辛いよなぁ、、と。。。
そういえば、幕間に友人とロベスピエール出るかな??とか話してたらばっちりロベピとダントンとデムーランっぽい革命家達が現れて、個人的にメチャメチャテンション上がりました。
あと、ロナンよりマルグリットの方がよっぽど革命しとる。。

 

キャストについて
マリー・アントワネット花總まり
凄く演技が上手かったです。というよりはマリー・アントワネット役が板につき過ぎてて、描かれなかった少女時代~王太子妃時代について観客側に想像の余地を与えてくれるのが凄いなぁっと。。何も知らない王女だったのにフランスに嫁いで来たことで人生が全く違うものになってしまって、だからこそただ本当に愛したフェルセン伯爵を手に入れられなくても傍には居て欲しい、そして自分を変えたフランスという国の王妃こそがプライドの全てで何を持ってしても穢されてはいけないし、侵されることなんてあり得ない、というマリー役が凄く似合ってました。演技に凄く説得力がありました。

 

マルグリット・アルゴー@ソニン
いやぁ、想像通りメチャメチャ合ってました(笑)
なんかもうああいう力強く自分の意思を持ってる女性が本当に似合って似合って、こういうソニンちゃんを観たかったので凄く満足です。

 

フェルセン伯爵@古川雄大
相変わらずフワフワして素敵だった。あの独特の雰囲気は本当に凄い彼の個性だな、と思います。フェルセンを強く求めるマリーとは反対にマリーをいさめる場面が多かったので、古川君ぐらいの熱量だと丁度良いなと思いました。熱量が強いと場面の説得力が薄まりそうな感じ。
想像以上に出番が多かったです。
余談ですが、帰り際に「後半出てこないのかな、とか思ったら魔導士みたいな恰好で出てきたね。」みたいな会話が聞こえて来たのですが、古川君の格好はあれ、魔導士ではなく、修道士なのでは。。。とココでツッコんでおきます。

 

オルレアン公@吉原光夫
めっちゃ、めっちゃ格好良かった!!!
レミゼ行きたい!光夫さんのジャン・バルジャンを観たい!!!って観劇後に思いました。この、この人の他の役を観たい!って思う感情ってすっごく大事でそういう気持ちを持たせてくれる役者さんなんだなぁ、と感動しました。舞台を支配する空気も凄かったし、あと古川君観ても思うけど、上背があるって本当に武器なんだなぁと思いました。格好良かった。。

 

物語の終わりは観客に訴えて終わるのですが、個人的にそこが響きませんでした。というのは、マリーが断頭台に送られたのはどうしても自業自得だよなぁ。。という気持ちが拭いきれなくて。なんだろう。よくある不良が改心して真面目になったから偉いって褒めるのは違うやん、初めから真面目に生きてた方が褒められるべきやん、みたいな気持ちです。マリーにしてもルイにしても無知故の愚かさが目立ってしまい、同情するところまで気持ちが持ってけませんでした。

物語と一緒で訴えたいことも若干散漫だったような気がします。生まれや育ちは紙一重でどちらもそうなっていた可能性があったとか世論をそのまま信じるんじゃなくて自分で判断しろよ、とか物語を丸めて投げられた気がして、結局心に残ったのがマリーの愚かさだったのがとても残念。

ネガティブな感想っぽくなっちゃったんですが、個人的には面白かったし、観てる途中に「ミュージカルっていいな、」とポッと頭に浮かんできました。MAは作品として非の打ちどころがなくあっという間!メッチャ楽しい!!という作品ではないと思うんですが(上でツラツラと書いた理由により。。)そんな作品を演者たちの力でねじ伏せるように面白い作品へと仕上げていて、観劇中、ふと「ミュージカルっていいな。舞台って素晴らしいな。」と思いました。書いてないのですが、他のキャストも皆さまも、とても素晴らしく素敵でした。
舞台というか演者のパワーを感じれた作品だったなぁ。。

 

MAの幕間に1789があって、MAが終わるとひかりふる路が始まるんだねと全く同じことを言い合ったんですが、MAの終わり、革命が成功し希望に満ち溢れた革命家達だけどやがて内乱、戦争が起きロベピ達がやがて仲違いし友を粛清し、恐怖政治が始まるのかと思うと、ひかりふる路の切なさが倍増してしまいました。
フランスはその後、ナポレオンの時代だしね。
フランス革命のミュージカルは1789も面白いんですが、その後、どうなったかを知ってるか知ってないかで観劇後の余韻が違うよな、と思いました。私はとても悲しかったです。あの後、ロベピ達がああなってしまうということが。。。(MAから離れとる。。)
ただマルグリットは強かに、その後を生き抜いているんじゃないかな、と思います。きっと何も変わらず、強く強く生きて、幸せになってるよ。