2020年版【RENT】

 

 I'll Cover You

 

2月に本当に滑り込むような形で雪組を観劇して以来の舞台ということで、観る前は感激のあまり着席した途端泣き出したらどうしよう??とか思ってたのですが、そこまで情緒不安ではなかった。
ただ久しぶりのシアタークリエは本当に懐かしいな、と思いました。
GHOST以来だから2年ぶりなのか、なんか本当に舞台観劇という趣味がどっか行ってしまったなーとか思ってしまった。
久しぶりの舞台観劇は本当に楽しくて楽しくて、特にRENTという演目なので音楽と演者のパワーを浴びることが出来て本当に幸せでした。
ただ久しぶりであるが故に演者のパフォーマンスを噛み砕く力が弱くなっていて、若干消化出来なかったところもあったと思うのは本当にブランクの所為で残念でした。

 

キャスト

マーク@平間壮一
壮ちゃんのマークが観たかったぁ!!!!観れた!!!夢が叶った!!!

って本当に嬉しかったし、もう本当にずっとファンで居て良かったな、と思いました。
夢を叶えてくれる推し、最高。
そして、自分が想像してた(妄想か)こういう風に演じるんだろうな、と思ったマークから随分と外れてきたマークだったので凄く意外でした。
私の中でマークと言えば2015・2017と演じた村井君のマークがやっぱり基本になってるんだな、と2020RENTを観て改めて思いました。
あの物語の主役なのに傍観者であり、はみ出さず耐えているかのようなマーク。
一方、壮ちゃんのマークは物語の中心に入り込み、みんなと一緒に居ようとするマークだったなと思います。
「La Vie Bohème」でのはしゃぎっぷりが凄かったです。
いずれ自分を残してみんな居なくなってしまうことを知っているからこそ、みんなと一緒じゃなきゃ嫌だ、傍観者じゃ嫌だ、と抗っているように見えました。
だから「Goodbye Love」でのロジャーとの応酬で本当に傷付いてるように見えたのが凄く新鮮でした。
むらマークはロジャーにそう言われても、それを承知しているし、受け入れてるように見えたので。

みんなと違うということを承知して、一人生き残る未来を知って、それでもみんなと一緒に行きたいと抗っていたのに、親友のロジャーに「違う」と指摘されて傷付いてるマークを観て、ああ、壮ちゃんのマークは繊細だなと思いました。こういうマークが彼の中にあったんだ、と思いました。
はしゃいでるマークも可愛かったけれど、物語の中心に居ようとしているマークを見れば見るほど、「Halloween」~「Goodbye Love」のマークの哀しみがより鮮明に描かれて、悲しいシーンだけどとても印象深く、ひらマークを象徴するシーンで凄く好きでした。

 

ロジャー@堂珍嘉邦
40歳を過ぎてるって嘘だろう、、、というぐらい見た目が変わらない堂珍さん。
2017年以来だけどやっぱり若かった。
3期目ということで安心安定のロジャー、というか拗らせた思春期が凄かった。
40過ぎてあの思春期感を出せるの凄いと思うし、ちょっと面白い。
そして、役が変わったといいつつ、3期RENTに関わった壮ちゃんとの役や演目に対しての解釈の一致度が嵌ってましたね。
初めに甲斐君のロジャーを観た時に、悪くはないんだけど何か違和感を感じるなと思い、ひらマーク&堂珍ロジャーを観ると、バチンと物語に嵌る感覚を客席で感じたのでひらマークには堂珍ロジャーなのかな、と思いました。
彼が今回ロジャーを演じたのは諸々の事情が重なり合った結果だけど、その結果が良い方向に向かったような気がします。
もちろんむらマークの横に居た堂珍ロジャーも好きだったけど、それでも今回、壮ちゃん演じるマークの横に堂珍ロジャーが居てくれて良かったなと思います。

 

ロジャー@甲斐翔真
甲斐君はハンサムで知ってたのですが、間近で見るとスタイルが良いというか、デカさにビビりました。。
推しとの身長差が飛んでもないことになっていた。。

元々格好良い人というのは知ってたのですが、金髪にロッカーな姿が予想以上に格好良かったです。
後述の八木ミミと居るとスタイルが異次元過ぎて、異次元過ぎて。

今回、ひらマークをメインで観に行っているので、前述のように堂珍ロジャーが良いなと思ってしまったのですが、甲斐ロジャーは甲斐ロジャーで良かったと思います。
やっぱりRENTって若者の話なので、若者の未熟さが物語に欲しい。
ひらマーク&堂珍ロジャーの痛さは若者故の未熟さではないと思っているので、23歳のロジャーからはそのエッセンスが感じられて良かったです。
観劇してないのだけど、花村マークとの方が甲斐君は相性が良かったんじゃないかな?と思って花村君のことをググってみたら花村君も別に若者じゃなかった。。。花村君も見た目詐欺だな。。

 

ミミ@八木アリサ
異次元なスタイルのミミだった。
ミミと言えばジェニファーという人が多いと思うのですが、私は青野紗穂ちゃんの勝気なミミが大好きだったので、密かに続投を願っていたのですが叶わなかった。。
八木ミミは勝気というより周りに流されてるな、と印象を持ったのですがこれは吉田ベニーが上手すぎた所為かな、と思うし。。私の中で特別にスタイル以外印象に残ってないミミなんですね。。
凄い悪かったというところもなければ、凄い良かったというところもないし、何処か特徴があったか?というと出てこないし、観劇から日にちが経っちゃった所為もあるとは思うのですが、、あと、遥海ちゃんのミミを観てたらまた違う印象や感想を持ったのかな、と思います。残念。。

 

コリンズ
コリンズは二人共好きなんですが、個人的には光永さんの方が好みかな、と思います。
これは本当に好みの差だと思うし、エンジェルによっても変わるかな、と思うのですが、今回上口エンジェルで観た感想だと、光永コリンズの方が好きだな、と思いました。

 

エンジェル@上口耕平
すんごくすんごく良かった上口君のエンジェル。とても良かった。私の観たかったエンジェルでした。
(余談ですが、RENTって歌手や経歴がミュージカル畑以外の方がキャスティングされることが多いので、ミュージカル俳優として着実に経歴を積み重ねてる上口君がエンジェルにキャスティングされた時はとても意外でビックリしました)
壮ちゃんのエンジェルも可愛くて好きだったのですが、当時の壮ちゃんのエンジェルは私のエンジェルの解釈よりも甘く可愛らしく女性の部分が強かったので、個人的にもう少し男性の面を出してほしいな、と思っていました。なので、男性の面がしっかりと描かれている上口君のエンジェルは凄く好みでした。
けれども上口エンジェルを観て、あの甘く可愛らしくどこか小悪魔っぽい平間エンジェルにもう一度会いたくなってしまいました。
上口エンジェルと出逢ったことで、あの平間エンジェルの良さに気付けたのは不思議な感じです。
そして平間エンジェルしか知らなかったので、登場シーン、デカくて足の長いエンジェルに凄くビックリしました(笑)

 

モーリーン
鈴木モーリーンとひらマークはちゃんと元カレ・元カノっぽく見えました。
このマークとモーリーンが元カレ・元カノっぽく見えるのって凄く新鮮。村井マークはどのモーリーンとも付き合ってたようには見えたから。。
フランクモーリーンとも付き合ってたように見えました、ひらマークは。
ただ身長差がとんでもないことになっていた。。

鈴木モーリーンは女の子はべらかしてそう、と思ったし、似合っていた。
かと言ってフランクモーリーンが男の子はべらかしてそうではなかった、かな。。
フランクモーリーンはパフォーマンスの時、少しセクシャルな表現をして、まあRENTだしアリかなという範囲なんだけど、個人的にそこがちょっと下品に感じてしまったのが残念でした。気にならない人も居ると思うのですが、私は気になってしまった。。残念。。

 

ジョアンヌ@宮本美希
安心・安定の宮本さんのジョアンヌ。大好き。今回も言うことなしです。

 
ベニー@吉田広大
My Best ベニー!!!!
イレギュラーな結果、ベニーとなった広大君だけど、いやぁ、もう大正解!!!
とてもとても良かった!
ベニーってメチャクチャ難しい役だと思うんですが見事に表現してくれたな、と思います。
結婚したことにより仲間と離れたけれど仲間のことを思っている、だからお金を持った今、彼なりのやり方で仲間と関係を築きたい。そして、ロジャーのことを友達だと思っているけれど、彼の恋人のミミに対して愛情を持っている。そんな複雑な感情をあの時間内・時間軸で表現するの難しいと思うし、RENTなので理解するより感じろ!と、多少分かりづらいところがあっても、私がなぁなぁで解釈していたところに広大君のベニーがバチコンと嵌って物語が引き締まって本当に良かった。
他の舞台でも是非是非、お会いしたい役者さんだなと思いました。

 

アンサンブル
あんまり言うなよという話なのですが、一応、忘備録なので書き残すのですが、2015・2017に比べてパワーダウンしたように感じました。特にゴードン。。。
「Will I?」大好きなのに、ズコーとしてしまった。歌唱力と言うよりは演技力の問題な気がします。。。うーん。。。ちょっと残念でしたね。。。

 

なんか色々と思うこと。

久しぶりの舞台観劇は本当に楽しい!!!の一言でした。
観劇前も観劇中も観劇後も楽しいという想いが沸き上がって大変でした。
楽しい!楽しい!!と観劇後にシアタークリエから有楽町駅まで駆け抜けたくて堪らない気持ちでいっぱいでした(要はジッとしていられない)
特にRENTなので音楽が降り注いで音楽に殴られて演者のパワーに圧倒されて、自粛以来の観劇だったので、初めて舞台を観て楽しい!と思った気持ちを思い出すぐらい楽しかったです。
ご存知の通り、キャスト・staffにコロナ陽性者が確認され11月16日から公演中止、後、全公演中止となってしまいました。
そして、今こんなご時世なので2020のRENTに関してコロナが出て公演中止になった舞台だよね、と印象に残ってしまうと思うのですが、実際に観劇出来た身としては、いや、コロナとか関係なくキャストはエネルギッシュで良い舞台だったよ!!と大声で言いたい。

私も後半の舞台のチケット払い戻しになってしまったし、まだ観てないキャストの方も居ました。
このエネルギー溢れる舞台が千秋楽に近付くにつれて、突き破るようなパワーを公演毎に増していったんだろうということも安易に想像付きます。

それを観れなかったことは本当に悲しいと思うし、残念だと思うけど、幸運にも観劇出来た人間なので、中止になってしまったことや観れなかったキャストが居ることを嘆くよりはあの2週間、幕が上がった2020年のRENTが凄く楽しかったということを想い出として残したいなと思います。
私はずっと望んで観たかった壮ちゃんのマークが、彼が表現するRENTの世界を観劇出来たことを本当に幸せだと思っています。
これはメチャクチャ個人的なことなのですが、本当はRENT前半に観劇する余裕がなかったんですよ。
上演後半の方がスケジュールに余裕があって、そちらにチケットをガンガン抑えていて、公演1週目は本当に観てる状況じゃなくて、観たい、けど観るなんて馬鹿なのかもしれない、、でも、何があるか分からないから観といた方が良い、、と葛藤を繰り返してました。(ちなみに2週目は絶対に観ることが出来ないというスケジュールでした。)
結局、観に行ったんですけどね。。そして観に行って良かったね、私。となりました。
ただ観に行ったことによるしっぺ返しはこの後発生する可能性が高く、あの時の判断、英断だったな、と手放しで喜べないのですが(本当に色々と怖い。。。)、、、それでもこの後どんなしっぺ返しを喰らってもあの日、観にいって良かったなと思います。観に行ったことは間違いじゃないと思います。ひらマークに出逢えて良かった。

本当に現在、いつもの日常ではないと思っていて、個人的にはあまり影響がない生活を送れているけれども、それでもふとした瞬間に凄く不自由を感じたり、こんなことにならなければ簡単に出来ることを思い出して凄く傷つくことがあったりします。誰もがみんなどこかで疲れて、ストレスを感じて傷付いているんだなと思います。
非日常になってしまったとはいえ、自分の仕事が緊急事態時には必要ないと言われた時どれだけ傷付いたんだろうと、せっかく稽古してきたものが人の目に触れないなんてどれだけの虚しさと憤りを感じたのだろう、とエンターティメントを生業としている方々の心を思うと本当に心が痛い。
中止の一報を聞いた時、ラディアント・ベイビーの終盤の曲、【Draw Me A Door】の「こんなウィルスに殺されるのか、こんな痛みにも耐えられないのか」と発狂したかのように舞台上で表現してた柿澤君とあのメロディーを思い出して頭の中で何度もリフレインして、何で思い出すんだろうと不思議に思っていたけど、当時は客席でその表現力に圧倒されていただけなのに、今なら未知のウィルスに対しての恐怖と憤りを実感して、思い出さずにはいられなかったのだと分かります。
未知のウィルスに対してこんな思いを抱くなんて想像もしてなかった。
本当にこんなことになるなんて2020年が始まった時、想像もできなかった。


上演中止云々は、推しだけの話じゃなくて鈴木瑛美子ちゃんは演目全く一緒だし、上口君のW.S.S.だって上演中止になってしまった。
そして今回の上演中止。
彼等がどれだけ落胆し、哀しい想いをしたか想像にたやすくありません。
どうか、傷付かないで欲しい、自分や誰かを責めないで欲しい。
また劇場で会いたい。
今はただそれだけを心から願います。