『THE FIRST SLAM DUNK』

 

映画の内容を思いっきりネタバレした上での感想なので、未見の方はご注意ください。

 

 

原作は世代ではないのですが、学生時代に友人から全巻借りて読んだことがありました。
当時は「兎に角メチャクチャ面白い!一大ムーブメントを巻き起こした作品!!」という認識はあったのですが、個人的に読んでも特にはまりはしなかったです。ああ、これが彼の有名なぐらいの感じで。アニメも再放送をチラッと見たことがあったかな?というぐらいの記憶で、特に作品自体に熱がないので映画が公開されると知った時も、声優交代で荒れてた時も、全部「ああ、そうなんだ」と特に感情が動くこともなく素通りしてたのですが、いざ公開されると「凄く評判がいい!」「大ヒット!!」というニュースを聞き、こんだけ流行ってるし一回見てもいいのかな?と思ってました。
そう思い始めたのが4月ぐらいで、でももうそろそろ終映になってサブスクに落ちてくるかもな、それを待ってもいいかもな、と思っていたところ、映画を見た友人と会ったので、「映画館で観た方がいい理由とかある?」と聞くと、「実際の試合を見てるようなライブ感で、それは映画館でしか味わえないと思う」との返答だったので、「じゃあ折角だから映画館で見るかな」と足を運びました。
ちなみに一応原作を読んだことはあるといっても遥か記憶の彼方なので、合ってるかどうかわからない薄っすらとした事前知識は下記でした。
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桜木花道:主人公。晴子に惚れてバスケを始める。
赤木:ゴリ。バスケ部のキャプテン。晴子の兄。
流川楓:なんかメッチャバスケが上手い人。晴子が惚れている人。あと親衛隊がいた。
ミッチー:元不良。バスケ部に乗り込んで暴力沙汰を起こして、有名な「安西先生、バスケがしたいです。」って言った人。
りょーちん:なんか花道と仲良かった記憶がある。
メガネくん:なんか凄く良い人だった記憶がある。
彩子さん:友人が「あんな女子高校生はいない」と評した人。3年生だっけ、2年生だっけ?ゴリとメガネ君と親しげだったから多分3年生。
晴子さん:ゴリの妹。花道に惚れられ、流川に惚れている人。
花道の友人達:顔は薄っすらと覚えているけど、誰一人名前が分からない。

山王のメンバーは全く覚えてないけど、なんか凄く顔が良くてバスケが上手くて、アメリカに行く予定のメンバーが居たような気がする。

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この知識のまま見に行きました。
もっと言ってしまえば、山王戦の映画化ということも知らなかったです。原作のダイジェストをするのかと思っていた。(どう考えても時間が足りない。。)
新作エピソードがあるというのはネットの情報を何処かで目にしたことがあったんですが、まあホンのちょろっとだろうな、と思っていました。

そしていざ、上映が始まると予想と全然違うお話が進み混乱の余り、あれ?これ?5人全員このテイストでいくの??と思ったのですが、物語の中盤ぐらいで、あっ、これ桜木花道が主人公じゃないんだ、りょーちん、こと、宮城リョータが主人公なんだと気づきました。
あ、そうなんだ、えっ?あっ、そうなんだ。
と本当に何も知らなかったので、このアプローチの仕方に凄く驚いたのですが、宮城リョータを主人公にしたことによって何も知識がない人間がすんなりとお話に入り込めたのが凄く良かったです。
なんせ、子供時代からやるんだよ。
そして、その子供時代のエピソードがベタなんだけど、凄く涙腺を刺激するもので、割と早い段階から泣いてました。ネットで凄く泣いたという感想も拾っていたので、念のためハンカチ握りしめて上映に挑んで良かった。スラムダンクで泣かんやろwwというノリで見に行ったら大変なことになっていた。
何故、宮城リョータがバスケをはじめ、原作が始まる前にゴリやミッチーこと三井寿とどう関りがあったのか、そして山王戦後の彼の人生という新しいエピソードが自分の体感的には全体の3分の1を費やしていたように思います。(3分の2は勿論、山王戦)
それ故、桜木と流川の影がちょっと薄かったかな。勿論、2人とも原作基準の活躍はしてるし、桜木はやっぱりラストにフィーチャーされるのですが、流川がモブか?ってぐらい出番がなかったです。いや、モブっていうのは言い過ぎだと思うんだけど、本当に印象が薄かった。。流川ファンの人はガッカリしちゃうかな、とかちょっと思ってしまった。

ただ自分は本当に良い意味で思い入れがなかったのと、試合展開を全く忘れていたので(覚えてるのはラストの得点シーンだけ)本当にえっ?これ?どうなるの?どうなるの?とハラハラして見れました。それも本当に楽しかったし、面白かった。
宮城リョータが山王のゾーンディフェンスに囲まれて、「ドリブルこそがチビの活きる道なんだよ!」と10-Feetの「第ゼロ感」のサビと共にドリブルで突破するシーンが格好良すぎたし、終盤、無音を多用して観客の集中力を高めて(涙腺も壊して)から、疾走感溢れる演出で最後の得点のシーンが描かれたのを見て、本当に心の底から映画館で見て良かったなと思いました。
大画面で大迫力の映像を見るというのが映画館の醍醐味だけど、大画面を満席の観客が集中して映像の中に陥る感覚もまた贅沢で映画館でしか味わえないものなんだな、と実感しました。
本当映画館で見て良かったとエンドロールを見て余韻に浸りながら、いや、これもう一回見たいわ、と思いました。どうしてもラストのライブ感をもう一度映画館で味わいたいと思って、5日後ぐらいにチケット購入して見に行ってました。
凄い。見に行きたいと思って、簡単にチケット買えて座席も選べる贅沢さ。凄い。
しかもチケット購入してから上演中止とか、上演中に急遽ショーストップとかないもんな。(と言いつつも何処かの映画館で「マリオ」の上映回に「聖闘士星矢」が流れて観客席が混乱の渦に巻き込まれたトラブルがあったらしいのですが)
2回目は内容知ってるが故に序盤からずっと泣いてたし、ラストも初回の非じゃない程泣いて、もう一度見たかったラストの演出を見て、ああ満足と思ってパンフを購入し、家路に着く途中でいや、もう一回見たいな、とそういう思考になってました。

そして2回目鑑賞中にあんな重い過去を背負ってるリョータがグレないのにイチャモンつけて暴力振るう三井に対して、何やコイツという思いが芽生え始めました。
(ただ酷くない??と思いつつも、「この音が俺を何度でも蘇らせる」のシーンはうわぁああ、ミッチー格好良い!!!と悶えてました。)
なんだっけ?なんか三井も何かあってグレたんだよな。なんだっけ?
確かバスケが上手すぎるが故に先輩にシメられて挫折したんだっけ?(映画にメチャクチャ態度悪い先輩が出てきたのでそれに思いっ切り引きずられてる。)
でも違う気がする。バスケはチームプレーだし、上手すぎるが故に反感買ったりしないよな、違う漫画かな。テニス?手塚部長もなんか上手すぎて先輩にラケットで肘を攻撃されて、「ラケットは人を傷つける道具ではない!」って怒ってなかったっけ?そうそれで氷帝戦で跡部に狙われて悪化して、治療のために関東大会の六角戦も立海戦もいなかったんだよ。そして、全国大会で戻ってきて、「あれが部長の本来の姿」ってリョーマが言ってた気がする、とここまで脱線してテニプリのあらすじに思いを巡らせたけれど、三井の過去を全く思い出せず、もう一回見に行くのは確定だし、折角だから原作をちゃんと知ってからもう一回みたいなという気持ちになってしまいました。いや、でも過去に一回読んであまり嵌らなかったし、これから動きがあるものでもないし、いま、この一時的な感情で全巻買うのってどうよと躊躇して悩んだ結果、まあムーラン・ルージュ1公演分より安いかって新装版の全巻セットポチってました。(MR観に行かんけど。。そしてこの時点で「re:SOURCE」は既に購入していた)

原作は実はまだこの時点で翔陽戦までしか読めてないんですが、(勿体なくてゆっくりとしか読めない。そして翔陽に監督居ないのなんでだよ。。って思ってる)
改めてそこまで読んでビックリしたことは、

彩子さん、2年生だったんだ。。
あとリョータもずっと彩子さんのことを「彩子さん」と呼んでると思ってたから(多分桜木の呼び方に引きずられてる)、「あやちゃん」呼びに解釈違いだ(?)ってなりました。
あと改めて三井、クズ……という感情を抱いてしまった。
いや、あの過去は彼にとっては大きい挫折だったんだろうけど、リョータのあの過去を知るとリョータはよくグレんかったなと思うし、色々と葛藤を抱えながらもバスケに向き合ってきた彼にあの暴力沙汰本当クソだなって思うし、なんだろう、三井、お前……、お前……みたいな気持ちになってしまう。
映画でリョータがバスケ部復帰の三井に「えっ?まじで戻んの?」というリアクションをしてたんだけど、本当そうだよ。どの面下げて戻ってくんだよ。と私が当事者なら絶対に思う。
でもまだ翔陽戦までしか読んでないので、こっから先大逆転の何かが待っているのかもしれない。

(余談なのですが、改めて原作読んで当時嵌らなかった理由が分かった気がします。
多分、私根本的にスポーツ漫画が得意ではない。
テニプリはどうなんだって話なんですが、原作ありきというのは重々承知してるのですが好きなのはテニミュなので。。)

 

そんな当時嵌らなかったのが功を奏してなのか、改めて鑑賞前の「原作を薄っすら知っている、いい意味で原作もアニメも思い入れがない」というのが自分にとっていい方向に向いたような気がします。勿論、当時からスラムダンク大好きで思い入れたっぷりの人も楽しめたと思いますし、彼らは自分と比べものにならないぐらい感動の度合いは強かったと思うのですが、あくまで自分はこのスタンスだから連載終了から26年経った作品を楽しめたのかな、と思いました。
そう連載終了から26年ですよ。なんか勝手にもうちょっと新しい漫画かと思ってたんですが、ポケモン赤・緑が発売された年に連載終了した漫画って思うと、とてつもなく古い。
当時、宮城リョータを推してた方、26年後に唐突に推しのバックボーンが分かったのってどんな気持ちなんだろうと気になってしまいます。。

自分にとってはスラムダンクはずっとあの作画なので、古いという感覚もないのですが、いまの子達が見たらどういう感想を持つのか凄く気になります。
個人的に眉毛が凄く鋭角だったのと、花道の友達がおっさんっぽい風貌で描かれてたのが、今だとああいう如何にも老けたキャラクターは居ないのかなーと思いました。
そして自分がすんなり映画の世界に入り込めたのは、宮城リョータというキャラクターの始まりを見せてくれたからだと思うのですが、もう1人、宮城リョータの母親という大人の新キャラクターが居てくれたのもとても大きかったと思います。
そう連載終了から26年経って、当時スラムダンクを好きだった読者は大人になり、湘北レギュラー陣の親と変わらない年齢になり、実際に高校生の親になってる方々も沢山いらっしゃると思うんですね。そうして年月が経って立場が変わった昔の読者の中には勿論「当時の好きだ」という気持ちで映画を見れる方も居れば、月日が経ったことでまた違った感情を持つ方も居る。そんな中、同世代の、そして普遍的な感情を抱きやすいキャラクター、宮城リョータの母親が1人居ることで26年後の映画が受け入れやすくなったのかな、と思いました。
私も色んなシーン、色んな感情で泣いたのですが、やはり彼女の思いは分かりやすく、物語に入るとっかかりになったので、彼女の存在は今回の映画で大きかったと思います。

 

ロングランロングランと言いつつ、見に行くのが遅かった為にもう終映も近いと思われるので、ドはまりしては居るのですがこの状態もあと数週間と思われます。
それまでは全力で「THE FIRST SLAM DUNK」を楽しみたいと思います。
取り敢えず、原作読破してもう一回映画見に行きたいです。アニメも見てみようかな。